このたびは、昇段審査を受ける機会をあたえていただきありがとうございました。思い起こせば13年まえ、小学校の帰りに上級生たちから虐められている時、帰りが遅いと父が心配して学校の通学路をたどってきて私を見つけ助けてくれました。しかし、家に帰った後、父は「虐めをするほうも悪いけど、自分の身は自分でまもらないとダメだ。」と言って、私を三好道場に入門させました。周りが強そうな人ばかりなのでビクビクしてばかりだったのを覚えています。なにより当時の私は、組み手が大嫌いでした。殴られ痛い思いをするのが嫌だったからです。いつも組み手の時間になると泣きそうでした。しかし、そんな私を甘やかすことなく、三好師範は他の色帯の少年部と同じ扱いをしてくれ、平等に鍛えてくださいました。三好師範は「男の子がメソメソしてはいけない。頑張ればできるんだ。」といつも練習中に言ってくださいました。 そして空手をはじめて2年くらいがたち、三好師範に試合に出るように勧められました。その初めての大会に出場し、優勝してす少しばかり自分に自信がもてるようになりました。いままで下を向いて歩いていた私が胸を張って学校に行けるようになりました。まだ、虐めは多少はありましたが、少しずつ少なくなってきていました。 小学校を卒業して中学生になり一般部として扱われだし、それを機に選手稽古に行くようになりました。選手稽古は竹澤先輩が指導をされており、一般稽古とはまったく違い、何倍も厳しいものでした。初めての選手稽古に、この世にこんなきつい練習が存在するのかと言う思いでいたことを今でも覚えております。まったくレベルの違う練習で、道場生や先輩にボコボコにされ落ち込んでいる私を竹澤先輩は優しく慰めてくれ、また選手稽古に来ようという気にさせてくれました。 そして時がたち高校も卒業して大学生になり、三好師範から初段の審査を受けるように勧められました。当時は黒帯と言うものに実感がなく、昇段審査も気軽にうけていました。合格するには腕立て100回、ジャンピングスクワットを100回。そして最後に10人組み手をクリアしないといけないのは知っていましたが自分の中で、多少ごまかしても大丈夫だろう。失敗しても許してくれるだろうと甘い気持ちで受けていました。そのため1回目、2回目の審査は不合格でありました。自分の中に、甘えや精神的な弱さがあったのだと思います。 それからの1年間は、三好師範や竹澤先輩に空手の技術はもとより、精神的にも鍛えていただきました。くじけそうになったときには、支えてもいただき、やっと3回目の昇段審査を迎えることができました。今まで、辛いことから逃げてばかりの私でしたが、自分の力でやり遂げることのすばらしさをこの昇級審査で知る事ができました。そして、私は、本当に空手が好きなんだと改めて感じることもできました。 ここまでこられたのも、三好師範をはじめ竹澤先輩、野本先輩、私と関わってくださった先輩方、道場生のみなさん、そして、家族のお陰だと感謝しております。 黒帯はいただきましたが、これからが空手人生の本当の出発点だと感じています。そして、今まで出来なかった事にもこれからは積極的に挑戦して行こうと考えています。これからも、ご指導をよろしくお願いいたします。 押忍 |