国士舘大学OB会で半生を振り返る 三好一男師範講演会 「私の空手道人生」

7月2日、高知会館で三好一男師範の講演会が行われた。これは、三好師範の母校である国士舘大学・同窓会高知県支部総会の一環として実現したもの。演題は「私の空手道人生」。その名が示す通り、三好師範の半生を振り返る内容になったという。はたして、空手道人生を通じてどんな思いを伝えたかったのか。三好師範に話を聞いた。

カラテライフ2016年11-12月号 Text/伊藤翼
高知会館で行われた三好師範の講演会。
国士舘大学関係者だけではなく、三好道場の父兄や道場生も駆けつけた。

パワーポイントを使いながら、これまでの歩みを振り返った。
 
オープニングとエンディングでは、バシー海峡と真珠湾で行った三好師範の演武の模様が流された。

−高知県の国士舘大学のOB会で講演をされたそうですね。

「私が七段に昇段した新聞記事を、高知県の国士舘の役員の方々が見てくださって、お話をいただきました」

−講演会の内容は?

「日本を愛する国士舘の講演ですので、最初に台湾のバシー海峡で10万人の英霊に捧げた鎮魂の演武の映像が流れ、そこから修業時代などの話に入りました。エンディングは、戦後70周年の真珠湾の演武の模様で締めました」

−上京して国士舘大学に入学するまでの経緯を教えてください。

「高校生の時、大山総裁の『私の空手道人生』を読んで、卒業したら東京に行き、極真空手の黒帯に挑戦したいと思うようになりました。ただ、両親からは上京するなら学校に行けと勧められ、国士舘に入学しました」

−空手道人生で最も印象深いことは何ですか。

「大山総裁の本を読んだ時は高校1年生だったんですけど、卒業まで時間があったので、地元の少林寺拳法の道院でお世話になったんです。東京に出るときに、道院の仲間が駅まで見送ってくれ『自分たちも東京で極真の黒帯に挑戦してみたい。だけど行けないから、三好が俺たちの夢をかなえれてくれ。絶対に黒帯を取るまで帰ってくるなよ』と言われました」

−いい話ですね。

「東京に出て総本部道場に入門した時に、何かをやっていたのかと先輩に聞かれたんです。少林寺拳法をやっていたと答えれば稽古で洗礼を浴びるのはわかっていましたが、その時に見送ってくれた仲間の顔が浮かんできて、正直に答えました。それこそ厳しい洗礼を浴びましたが、もしそこで逃げて言わなかったら、仲間を裏切ることになると思ったんです。そこで仲間を裏切らなかったことが、空手を続けられた要因だと思います」

−人生の分かれ道だったんですね。

「もうひとつは、地元でみんなに見送られて電車に乗った後に、車窓から父が畑仕事をしている姿が見えたんです。私の家は兼業農家だったんですけど、本来は私がやらなければいけない仕事だったんです。その姿を見て、どんなにつらくても黒帯を締めるまでは帰れないと思いました」

−講演会後の会場の反応は?

「感動していただけたようです。三好道場のご父兄の方々や道場生も会場に来ていたんですけど、『三好道場に入門して良かったです』と、おっしゃていただきました。講演する機会をいただけて、空手をされていない方々にも、あらためて新極真空手を知っていただくいい機会になったと思います」

−空手道人生を通じて、どんなことを伝えたかったですか。

「仲間や親を大事にするということですね。友情と親孝行。このふたつが、私の空手道人生の柱です」

 



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