初めて大阪東部支部主催で行なわれた、今年の全関西大会。新たな時代の幕開けと歩調を合わせるように、一般男子上級・無差別の部でも若武者のフレッシュな風が吹いた。
主役となったのは、愛媛支部の三上和久。今年4月の全四国大会では、三好道場の先輩・酒井瑞樹を破ってファイナリストとなり、8月のカラテドリームフェスティバルでは初の3位入賞をはたすなど、全国でもその名が知られつつある17歳だ。一般部初優勝とブロック大会初制覇を狙い、四国から関西に乗り込んだ。
藤森大珠との一回戦は「初戦は毎回動きが悪いので、そこから改善しなければいけないと思いました」と反省しきりだったが、それでも得意の突きや前蹴りを的確にヒットさせて試合を優位に運び、本戦5-Oで突破。続く準決勝は対戦相手の煬エ誠司が欠場となったため、不戦勝で決勝戦に駒を進めた。
もう一方のブロックを勝ち上がったのは、先にも名前を挙げた酒井。初戦となった西井誠裕との準決勝では、突きと左の下段廻し蹴りを軸に、ヒザや上段廻し蹴り、前蹴りも織り交ぜ、積極的に攻撃を仕掛けてペースを握る。本戦5-Oで勝利を収め、後輩との5ヵ月ぶりのリベンジマッチへ臨んだ。
ふたりの師匠・三好一男師範が主審を務めた決勝戦は、互いに手の内を知り尽くしているだけあり、試合中盤までは互角の攻防が続いた。三上が下突きから下段廻し蹴りを放てば、酒井も下段廻し蹴りで応戦。三上が前蹴りを繰り出せば、酒井もすぐさま同じ技を返していく。 試合が動いたのは、残り1分を迎えた頃だった。三上の正拳突きが酒井の胸にクリーンヒットすると、徐々に攻撃のペースを上げ、ラスト30秒でトップギアに入った。
前に出て圧力をかける酒井に対し、三上は足を使って左右に回り込み、突き連打からのヒザで一気呵成にラッシュ。「スタミナがずっと課題だったので、ビッグミットなどでラスト30秒を想定した稽古をしてきました」と語るだけあり、最後まで動きは衰えず。本戦5-0で勝利を収め、無差別級の頂点に立った。
試合後の三上は意識をする選手として、今年のドリームフェスティバルの準決勝で敗れている、同学年の吉澤穂高の名を挙げた。今回の優勝を弾みに、先を走るライバルに追いつき、追い越したいところだろう。そして「いずれは世界大会で活躍する選手になりたいので、10月の全日本大会で結果を残したいと思います」と、目を輝かせた。
また今大会は、サバンナの八木真澄氏と楠雄二朗氏がトークショーで会場を沸かせ、世界的和太鼓グループ『倭−YAMATO』が圧巻のパフォーマンスを披露するなど、試合以外でも見どころの多い大会となった。 |