新極真会、いざ出陣!

他の組織との識別を明確にするため 「新極真会」の名称で新たなスタート


緑健児代表
創始者である故大山倍達総裁の他界から10年を節目とし、本日7月11日をもって組織名称を刷新することを発表する緑健児代表
平成15年7月11日(金)、この日をもって私たちの組織名称は、これまでの「NPO法人国際空手道連盟極真会館」から「NPO法人全世界空手道連盟新極真会」の新名称へと変更された。この名称刷新は、大山倍逹総裁が亡くなられたあと、極真会館は四分五裂し、それぞれが極真会館を名乗るという混乱状態から脱し、明確に識別できる組織にしたいとの総意に基づいて実施されたものだ。この日、新名称刷新を発表するために、緑健児代表をはじめ。全国の支部長、道場責任者、そして全日本大会、世界大会の会長を務める野田聖子衆議院議員などが赤坂プリンスホテルに集結。マスコミ関係者が多数つめかけるなか、組織の新名称発表の記者会見を行った。


書家の柿沼康二氏が揮毫した「新極真会」の胸マークをつけた道衣を披露。モデルは東京城南川崎支部の入来卓也と日比啓太郎の両道場生。二人は新道衣を着ての迫力ある組手も見せてくれた
 
全日本大会や世界大会で大会会長を務める野田聖子衆議院議員も記者会見にかけつけ、新名称での新たな旅立ちにエールを送る

「新極真会」のロゴマークを揮毫した書家の柿沼康二氏もお祝いにかけつけ、祝辞を述べる
 
新名称で希望に満ちたスタートを切ることができたためか、緑代表、野田聖子大会会長の表情も明るい

中谷元衆議院議員(大会副会長)、(財)骨髄移植推進財団などからお祝いの花が会場に届けられた
 
一般紙、スポーツ紙、週刊誌、格闘技雑誌など、マスコミからは多彩なジャンルの記者が多数つめかけた



徹底ドキュメント 「極真会館」が「新極真会」となった日


7月11日、東京・赤坂プリンスホテル別館1回「グリーンホール」において、午後2時より「組織名称変更&第8回全世界空手道選手権大会」に関する記者会見が行われた。大山倍逹総裁亡きあと商標問題については、これまでの紆余曲折あったが、当組織としては他の組織との識別を明確にし、未来に向けて新たなスタートを切るために、新名称に変更することを決断。このたび正式に新名称を記者会見という形で公に発表し、あわせて第8回世界大会に向けての記者会見を行った。以下は
そのドキュメントである。



「心極める」の理念のもの
最強の武道空手を追求し続けたい

NPO法人 全世界空手道連盟 新極真会代表
緑健児

本日はご多用にも関わらず、当法人の「新名称発表」記者会見にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、私どもNPO法人国際空手道連盟極新会館は、創始者である故大山倍逹総裁のもと、「地上最強のカラテ」という言葉に象徴される武道空手の追求に貪欲であり続けると共に、また「頭は低く目は高く、口慎んで心広く、孝を原点として他を益す」という極真精神による心の空手を実践してまいりました。
総裁の他界後も、「青少年育成」「国際交流」「社会貢献」という三大使命を念頭におき、武道空手の実践という基本路線を踏み外すことなく、NPO法人として今日まで活動を続けてまいりました。
今回の刷新では「心極める」という理念のもと、最強の武道空手を追求し続けたいという想いを胸に抱き、共に心を極め、世界平和に貢献してまいります。
新極真会がスタートする2003年は、第8回全世界空手道選手権大会の開催年でもあります。世界最高峰の武道空手トーナメントである本大会は全世界空手道連盟新極真会が初めて行う組織的行事です。また、2005年6月には、第3回カラテワールドカップ(インド大会)、9月には愛知万博パートナーシップ事業としてのKARATE EXPO国際女子空手道選手権大会も開催いたします。
今後とも、ご指導とご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。



新名称のもと、新しい
空手道の道を切り拓くことに
私自身も興奮を覚えています

衆議院議員
野田聖子

お集りの皆様、こんにちは。衆議院議員の野田聖子です。今日皆さんには私の仲間である極真会館が新しい名称「NPO法人全世界空手道連盟新極真会」ということでお披露目させていただいたところ、本当にたくさんの皆様にお集まりいただいてありがとうございました。
この新しい「新極真会」には、私をはじめとして全国の多くの応援団が日々の活動に期待を寄せ、NPO法人としての今後のさまざまな目標に向けての取り組みに拍手をおくっているところです。
緑代表より10年というお話がありました。実は私は衆議院議員としてのライフワークのひとつに骨髄バンクの応援をしています。これは、たとえば白血病にかかった患者さんが健康な方の骨髄液を移植することによって、尽きそうな生命が再生されて、また健康な人として生きていくことでできる最先端の手術であるわけですが、これには実は保険適用がすべて効いているわけではありません。多くの患者の負担とか国の負担があるわけで、なかなかそういう問題からたくさんの患者さんが移植を待っているのだけれど、その費用負担ゆえに救うことができないケースもままありました。そのなかで民間の寄付を募って、1人でも多くの生命を助けようということでこの10年続けさせていただいています。
ある方を介して、新極真会の皆様方との出会いがありました。私が最初にお願いしたのは、どうかあなたたちのような強い人たちが弱い人たちを助けるような社会をつくっていただきたいということです。骨髄バンク支援というと普通は二の足を踏む方が多いわけですけど、極真の皆様には二つ返事で引き受けていただきました。以来、ほどんどの大会には必ず「骨髄バンクチャリティー」という冠をつけていただき、そこでの収益の一部を骨髄バンクに寄付していただいています。
まさに言葉だけじゃない、実行をしていただけるすばらしい仲間たちが、今日新しい名前をつけて出発することになりました。10年のおつきあいのなかで、決して順風満帆であったわけではりません。いろいろな苦しみ、トラブルも経験されました。それを乗り越えて、緑健児代表を先頭に、いま後ろにひかえているすばらしい指導者たち、獅子たちがこの新しい「新極真会」のもとで、一致結束し、新しい空手道への振興へと進んでいるということに私自身も興奮を覚えるものです。どうかこの新極真会が皆様方の温かい応援をいただいて、多くの賛同を得、特に緑代表が強調していた、単に空手道を極めるだけでなく、その空手を通じて社会貢献をする、特にいま迷っている子どもたちの道を空手を通じてつくってあげる。そういう高邁な精神をもって活動を展開している団体でございますので、なにとぞ力強い応援をしていただきたいということをお願いにあがりました。衆議院の中にも新極真会のたくさんの応援団がいます。衆議院議員だけでなく、新極真会を応援する全国の皆さんの想いは同じだと思います。今日のこの記者発表を機に、1人でも多くの方が新極真会の活動にご理解くださることを願って私の応援のご挨拶に代えさせていただきます。




新極真会の理念は、
支部長、道場責任者の
熱い想いから生まれました

NPO法人 全世界空手道連盟 新極真会 副代表
小林功

それでは、新極真会の理念とロゴマークについて説明させていただきます。
まず、理念です。理念につきましては、我々指導する立場の者はもちろんですが、一般道場生からみても、そして最近増えております小学生からみましても、新極真会を常々応援してくださっているたくさんの後援者の皆様からみましても、ここにお集りいただいている皆様からみましても、初めてみる人にとっても、誰がみても簡単に理解できて、なおかつ意味合いが深く、心に残る理念ということで、簡潔に一言でまとめてみました。
ずばり「心極める」です。理念の意味につきましては、最強の武道空手を追求し、ともに心を極め、世界の平和に貢献するということです。
この理念の中には重要なことが3つ入っております。
まず一つ目は、「大山倍逹総裁の遺志を継承し、あくまでも素手素足による最強の武道空手を追求する」ということです。
二つ目は「ともに心を極める」ということで、1人ではなくみんなで一緒に空手を通じて心を磨きあい、極めるということです。
三つ目は、「青少年育成、社会貢献、国際交流をはかり、武道精神でもって世界平和に貢献する」というものです。
続いてマークです。このマークは理念の中にある「心」を造形化したものです。また、武道精神を育む上で不可欠な心、技、体の一体化を表現しております。極新の原点は大山倍逹総裁の座右銘12か条第6条に記されております「武の道においては千日をもって初心とし、万日をもって極とす」にあります。新極真会の理念とマークはその「心極める」ということと、支部長、道場責任者の熱い想いと心から生まれたものです。
続きまして、漢字ロゴマークです。この書体は、最近テレビ、雑誌等でおなじみの新進気鋭の書家、柿沼康二先生に心をこめてなんと500枚以上書いていただいた中の一つを選んだものです。この書体は我々の命でもあります稽古着の胸刺繍として使用していきます。これからはこの書体のついた新しい稽古着を着て、支部長、道場責任者一同、そして全国の会員一同初心にかえり、心を一つにして努力精進していく所存でございます。今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。押忍



闘ってねじりだした
「新極真会」の筆文字

書家
柿沼康二

皆さんこんにちは。書家の柿沼です。このたび新極真会のタイトルを揮毫させていただきました。
私は書家で人は書道界の革命児とか書道界の格闘かとか言うんですが、そんなことは僕はどうでもいいことで、日々稽古という気持ちで書に取り組んでおります。その自分の発したエネルギーを緑健児代表をはじめ、理事先生方に受けとめていただき、こういう運びになりました。
僕なりに一生懸命書いたんですが、3回ほど打ち合わせをして、そのたびに家に帰っては毎回300枚くらい書いて、よしいけるぞといって見せにいくと、こうじゃない、ああじゃないという意見が出て、最終的には書いたなかの前半の作品に決定しました。今日改めてロゴを見せていただいて、自分なりにベストは尽くしたと思っています。僕の中から「新極真会」という字を書く上でこれ以上のものはできません。自分自身に負けないように闘ってねじりだした筆文字です。
書は枚数書けばいいというものでもないし、極真空手の世界でいうと、一撃必殺の中での一瞬です。書道はこれを書くのに15秒で済むとするならば、それだけのものかというとそうではありません。僕は32年間生きてきて、この15秒にその人生のすべてをかけて書いたつもりです。
みなさんの情熱に僕の情熱をのせていただければと願っています。加えて今年の10月4日・5日の第8回世界大会でデモンストレーションも頼まれております。超大作になると思うんですが、できれば漢字一文字を選んで、そこで自分のすべてを爆発させたいと思っています。みなさんの情熱と強さと優しさに負けないくらいに自分を表現しようと思っています。



さぁ、新極真の風が吹く、
いざ、出陣!

音楽家
長渕剛

この度は、新名称「新極真会」の発表、心よりお慶び申し上げます。
代表を務める緑健児氏とは、公私共に長いお付き合いをさせて頂いております。
今回この会歌を創作するにあたりましては、氏の武道空手に対するひたむきな努力と、誠実な心、そしてなによりも故大山倍逹総裁からの直伝である「死力達成」を掲げ、止まることなく走り続けている、そんな彼の姿に心を打たれ生まれたものです。
どんな世界に於いても、新風を巻き起こすには壮大な力と連帯が必要です。
緑代表を始め、この「新極真会」の若き獅子たちのみなぎる力で、この新風を日本中、いや世界中に巻き起こして躍進してください。
そして、また、私が書いた会歌がどうか皆様に愛され、選手勢の「魂の賛歌」として、力と勇気と希望に満ちたものとなり、未来永却、連綿と歌い継がれていきます事を心より願ってやみません。

『空手の道に命をかけて、心身錬磨の荒波よ、胸ぐら突き刺す一撃正拳、己をたたいて明日(あす)を行け』
さぁ、新極真の風が吹く、いざ、出陣!




第8回世界大会日本代表選手団16名が 記者を前に必勝を誓う

日本代表選手団
新組織のシンボルマークとロゴマークを挟んで勢揃いした第8回世界大会日本選手団
新名称発表の記者会見が無事終了。その後は記者会見第2部として、第8回全世界空手道選手権大会に関する記者会見となった。この記者会見では、まず第8回全世界空手道選手権大会の大会会長を務める野田聖子衆議院議員が再び登壇、マスコミ各社に世界大会へのサポートをお願いした。続いて緑健児大会実行委員長がこの度の世界大会の意義、位置づけなどについて説明。また、小林巧大会副委員長による大会概要の説明が行われた。さらには、(財)骨髄移植推進財団広報渉外部長の山崎裕一氏より、これまで私たちが組織を揚げて骨髄バンクの支援活動へ取り組んできたことに対する謝辞の言葉もいただいた。その後は、プロモーション用のビデオをはさんで三好一男大会副委員長より大会の見所についての説明へと続いていった。それが終わると、次は入来武久監督が「死力達成」の決意表明を行い、いよいよ奥村幸一コーチによる日本代表選手の紹介へと移った。代表選手では、まず全日本大会3連覇を達成した鈴木国博選手が紹介され、続いて塚本徳臣選手、新保智選手、石原延選手ほか16名の日本代表選手が主な大会実績とともに次々と紹介され、中央に居並んだ。マイクを渡された各選手はそれぞれに第8回世界大会に臨む決意を表明。大勢の記者の前で日本勢による王座死守を誓った。


世界大会の見どころを熱く語る三好一男副委員長(選手強化委員長)
 
第8回世界大会の大会概要を説明する小林功副委員長
 
代表選手の紹介を行う奥村幸一コーチ
 
これまでの骨髄バンク支援に対し謝辞を述べる社団法人骨髄移植推進財団公報渉外部長の山崎裕一

記者席前のスクリーンに映し出された記者会見の文字
 
組織名称変更および第8回世界大会に関する記者会見の司会は総本部の小井泰三事務局員が務めた

組織名称変更記者会見に続き、 記者団を前に第8回世界大会の魅力をアピール


頭の先からつま先まで
緊張感とほとばしる
躍動感を堪能してほしい

大会会長
野田聖子

再び登場させていただきました。この度は大会会長としてのごあいさつをさせていただきます。
新極真会になりまして初めての大きな大会である第8回全世界空手道選手権大会がこの秋の10月4・5日と開催されることになりました。私と極真空手との最初の出会いは、彼らが主催するジュニア大会に出かけたことから始まりました。子共たちが元気いっぱいに空手に取り組んでいる姿を見て、思わず涙が出てしまい、この子たちと一緒にがんばっていきたいなあというのが極真の皆様とのつながりの始まりだったと思います。以来、極真の皆さんはたいへんな思いをしてジュニア大会はもちろん、さまざまな大会を開催してきましたが、この世界大会こそがまさに極真の空手の最高峰の大会です。鈴木選手をはじめすばらしい選手が大山倍逹総裁の遺志を継ぎ、空手を通じての国際交流をはかるということで、ぜひともたくさんの皆様方に観戦していただければと願っています。選手たちは日夜、自分をすてて練習に励んでいます。この大会ではその成果を見ていただけますし、実際の試合の中では頭の先からつま先まで緊張感とほとばしる躍動感を堪能していただけるものと思っています。とにかく一度お出かけいただき、私たちの愛する武道空手のすばらしさをともに分かち合いたいと思っています。



日本代表には、
空手母国日本ここにあり
と胸を張れる闘いを
見せていただきたい

大会実行委員長
緑健児

私たち新極真会では来る2003年10月4・5日、東京体育館において、骨髄バンクチャリティー第8回オープントーナメント全世界空手道選手権大会を開催いたします。
本大会は故大山倍逹総裁が国際交流の一環として、また武士道精神、武道空手の世界的普及のために、1975年に第1回全世界空手道選手権大会を開催し、以後、毎年4年に1度開催しており、この世界大会は空手オリンピックとも言われております。
新極真会では、昨年の第34回全日本空手道選手権大会、本年の4月に開催されました第20回全日本ウエイト制空手道選手権大会、そして10月の世界大会までを「死力達成シリーズ」と題し、活動してまいりました。このたびの世界大会は63カ国、128名、海外112名、日本勢16名による無差別フルコンタクトトーナメントで行われます。なにとぞ報道関係者の皆様、ご指導、ご協力をいただきたくお願い申し上げます。
これまで私たち空手母国日本は大山総裁の命を受けて、過去7回の世界大会で王座を死守しております。第8回世界大会日本選手団は強化合宿も終え、本当に一瞬、一瞬、死ぬ気で血のにじむような稽古をしております。全日本3連覇の鈴木国博選手、そして空手界の革命児、第6回世界大会優勝の塚本徳臣選手、彼らを筆頭に16名のサムライは、どのようなことがあろうと王座を死守してくれるものと信じております。
しかしながら、海外勢選手の強さというのは、一昨年ハンガリーで開催されました第2回ワールドカップ重量級チャンピオンとなったロシアのデニス・グリゴイエフ選手を見ても日本勢を脅かすものがあります。
この前、ヨーロッパ大会に行ってきました。決勝戦は2メートル同士の闘いです。そのなかで重量級を制したのは、今度の世界大会ではおそらく台風の目になるだろうといわれているリトアニアのドナタス・イムブラス選手でした。また、第7回大会で決勝戦までいった中量級のドイツのバカック選手も今年のヨーロッパ大会ではみごと中量級で優勝して世界大会に出場します。そのほか、故アンティ・フグ選手の再来かと言われ、またアンディ・フグ選手でもなしえなかった弱冠21歳でのヨーロッパの無差別を制したバレリー・デミトロフ選手もいます。彼は本当に青い目のサムライ、日本の武士道精神をもった選手だと思います。こうした選手が打倒日本を胸に日々精進しています。
しかしながら、日本は、なんとしても第8回世界大会では必ずや王座を死守し、上位を独占することで空手母国日本ここにありと胸を張れるような闘いを見せてほしいと思っています。第1回から7回まで世界大会のなかで、私は今回の日本選手団が今までの選手団のなかでもいちばん絆が深く、最強のメンバーだと確信しています。どうかみなさんにも東京体育館に足を運んでいただき、この16名の日本選手団の生きざま、闘いざまをぜひご覧になっていただきたいと思っています。



これまでの
骨髄バンク支援の取り組みに
感謝申し上げたい

(財)骨髄移植推進財団広報渉外部長
山崎裕一

来る第8回世界大会を骨髄バンクチャリティーとしていただき、本当にありがとうございます。また、これまでの骨髄バンク支援の取り組みに改めて感謝申し上げます。
さきほど会長の野田聖子先生からお話がありましたが、皆様には平成7年(1996年)から8年間にわたり、いろいろな大会で私ども骨髄バンクに対する啓蒙、ドナー登録推進にたいへんなご尽力をいただいております。また、各大会ではさまざまな募金活動をしていただいておりまして、これまでなんと1600万円を超える金額をご寄付たまわっております。この機会に改めてお礼を申し上げます。
このたび新名称となったということですが、この新極真のみなさんはたいへん心優しい方々で、献血と骨髄バンクのご登録を大会会場で一緒にするということもやっていただいております。そういったことを含めまして新極真の皆さんがまさに心、技、体、自分たちの体を鍛えるだけでなくて、病にある人たちのために自ら力を出していただいております。最後に、本日新たに発足した新極真会のますますのご隆盛を祈念するとともに、これまでの取り組みにお礼申し上げ、私のあいさつとさせていただきます。



第8回世界大会の見どころ

選手強化委員長
三好一男

大会の見どころをかいつまんで説明させていただきます。選手の皆さんはすでに和歌山千葉での強化合宿を終え、8月には茨城で最後の強化稽古を行います。先般行った千葉の合宿は、世界のアスリートが集まるエアロビクスセンターで行いましたが、そこには有名な地獄坂という200メートル以上の坂があります。その坂での世界のアスリートの最高が15本だということでした。しかし、我々は22本のダッシュをしようということになり、極真の選手は22本走り抜きました。そのとき日本代表に選ばれた警察官の小泉英明選手もいましたが、勤務あけで来ているので体調が思わしくなく、他の選手が22本は知り終わったとき、彼はまだ4本残っていました。すでに足がつって走れない状態にもかかわらず、彼がどうしてもみんなと同じ数だけ走らせてくださいとの決意が固くて、最後の4本走ることになったのですが、最後の1本で世界大会のメンバー全員が下まで降りていって、小泉選手を先頭にして最後の1本を一緒に走りあがってきました。その姿を見て、これはすごい団結力だなと思いました。今年の16名のサムライはこの団結力を力にして必ず頑張ってくれると思います。


鈴木国博(日本・神奈川厚木道場)


塚本徳臣(日本・東京城南川崎支部)

続いて海外の有力選手の紹介に入らせていただきます。海外勢で優勝候補の筆頭といえば、やはりロシアのデニス選手ではないかと思います。彼は第2回ワールドカップ重量級でぶっちぎりの優勝をしましたが、その後体調を崩して試合からずっと遠ざかっていました。しかし、この間行われた全ロシアの大会で見事に優勝。やはり一流選手というのは、ブランクがあってもちゃんと世界大会に照準を合わせてくるものだと感心いたしました。彼は「今度日本には世界チャンピオンになるために行きます」ときっぱりと言っているそうです、そのために朝5時から起きて、一日中世界チャンピオンを目指して練習しているということです。それだけに日本勢にとって最大の強敵になると思います。
あともう1人、ドイツのバカック選手も名乗りをあげてきました。第7回世界大会準優勝の選手ですが、彼も同じようにちゃんと予選を勝ち抜いて中量級のチャンピオンとなり、世界大会に照準をあわせ体調を整えて臨んできます。彼は小柄な選手ですが、むしろそれを生かして体重判定にもっていくテクニックももっています、そういう意味でも非常に怖い存在です。
先日、リトアニアのヨーロッパ大会を観戦してきましたが、2メートル級の選手が非常に多いのに驚きました。


デニス・グリゴリエフ
(ロシア)


ドナタス・イムブラス
(リトアニア)

今年のヨーロッパ大会重量級優勝、リトアニアから名乗りをあげてきた選手はドナタス選手です。それまでは無名の選手でしたが、道着の間から見える大胸筋と腹筋の発達した身体は、その恐るべきパワーを物語っています。彼の慎重は2メートル5センチあり、体重は110キロです。私は第1回から世界大会を見てきましたが、極真史上に残るパワーファイター、ウイリー・ウイリアムズ選手、チャールズ・マーチン選手をも凌ぐ体格とパワーをもっています。それだけに、彼が隠れた優勝候補ではないかと私は思っております。ヨーロッパ大会重量級決勝で彼に敗れたダニエル・トルク選手(ブルガリア)も110キロの体格ですから、ヨーロッパ勢のパワー恐るべし、そういった感じです。

これら強豪を迎え撃つ日本選手の話を少しだけさせていただきます。
第8回世界大会日本代表の第1次選抜として、第34回全日本大会のベスト4を日本代表として選びました。第2次選抜として第20回ウエイト制大会で軽量級1名、中流級2名、重量級4名選びました。
何といっても第1次予選を勝ち抜いたベスト4のメンバー、鈴木選手、塚本選手、新保選手、石原選手は現在の極真の4強といっても過言ではありません。鈴木選手は努力に努力を重ねて練りに練って自分の体をつくりあげ、全日本3連覇を達成しております。しかし、まだ世界チャンピオンにはなっておりません。ですから今回、鈴木選手の世界チャンピオンに賭ける意気込みというのは推して知るべしです。この間の合宿の地獄坂のダッシュを見てましたが、鈴木選手は22本中20本までトップで駆け上がってきました。これをみてもいかに日頃から苦しい練習を積んでいるかがわかりました。
あと、対抗馬としては塚本選手です。極真大会史上、これだけ一本勝ちの山を築いてきた選手はちょっといません。近づいたらヒザ蹴り、前蹴りの種類も外側からかるもの、内側からくるもの、ストレートのようにまっすぐくるもの、それを中断と上段に使い分けますから、前蹴りだけでも6種類あります。それに相手の顔が少しさがったら飛んで上段のヒザ蹴りでも一本勝ちができます。さらに、離れ際のカカト落とし、相手が突っ込んできてカウンターでの胴廻しと、いろんな技でノックアウトできるテクニックをもっています。彼の多彩な技も世界大会の大きな見どころではないかと思います、「世界大会どうですか」と選手に聞くと、たいていは「押忍、頑張ります」といった控え目な返事が返ってきます。しかし、塚本選手は「自分は優勝します」と必ず言います。そういう強い気持ちに期待したいと思っています。


ムザファ・バカック
(ドイツ)


バレリー・ディミトロフ
(ブルガリア)

新保選手につきましては、この10年間、完璧な防御と隙のない組手で極真のトップ2人を脅かす存在でした。また、石原選手はオールラウンドのファイターです。左右のどんな構えにも対応できる柔軟な組手を身上としております。彼もトップ2人の実力に非常に近い存在だといえます。
次にウエイト制大会で軽量級からたった1名選ばれたのが、弱冠19歳の小宮山大介選手です。これまでの世界大会の歴史の中で10代で選ばれたのは小宮山選手が初めてです。新極真会の牛若丸になってもらいたいと願っています。
中量級は森健太選手と渡辺大士選手が選ばれております。この二人は第5回世界大会のときに小学生でした。第5回世界大会というのは緑代表が世界の頂点に立った大会です。その大会を二人は観戦しており、「あのときの決勝は今でも鮮明に覚えています。緑先生の最後まであきらめない気持ちに感動しました」とのコメントを「極真魂」で述べています。小学生のときに見た自分の先生の勇姿を頭に描いてこれまでずっと修業をしてきたわけですが、いよいよその二人が、夢だった師と同じ世界大会の舞台にあがります。福岡支部の稽古は渡辺選手いわく「緑先生の指揮のもと、世界でいちばん厳しい稽古をしています」とのことです。それだけにこの二人の闘いも見ものだと思います。
あと重量級では、第34回全日本大会では塚本選手に胴廻しで敗れましたが、あれが当たらなかったどうなるかわからなかった、それくらいの実力をもっているのが塚越選手です。また、ウエイト制大会重量級で3度の優勝を飾っている逢坂裕一郎選手、外人に対して日本選手団の秘密兵器になるのではないかと期待されている野本尚裕選手です。あともう1人は神奈川県警の現役の警察官という激務をこなし、そのなかで38歳という年齢ながら自力で日本代表に選ばれたというの特筆に値することだと思います。
あと、世界大会の実行委員会から、第18回、第19回とウエイト制大会中流級を連覇した佐藤隆孝選手と、速射砲のような突きで外人勢を脅かしてくれるのではないかと期待されている竹澤剛選手。小宮山選手が牛若丸なら新極真の弁慶こと、北海のヒグマの異名をもつ酒井裕樹選手。浪速のファイターで負けん気の強い阪本晋治選手や、阿波の金太郎こと、前川憲司選手にも期待しています。